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忘れられた砂場セット

公園の砂場には、不思議な現象がある。いつ行っても、必ずといっていいほど「忘れ物」があるのだ。バケツ、スコップ、正体不明の型抜き……。あれは一体、誰が置いていったものなのか。そして、持ち主のいないそれを、そっと使うのはやはりマナー違反なのだろ...
育児記録

赤いピンと緑のピン

これほど公園へ通うようになるとは、独身の頃には想像もしていなかった。今日も息子を連れ、近所の公園を目指す。ふと、スマートフォンで地図を開く。画面には、かつて「お気に入り」として登録した赤いピンが点在している。地元で人気のラーメン屋。路地裏の...
育児記録

おじいちゃんの家か、おばあちゃんの家か

「おじいちゃんの家」か、それとも「おばあちゃんの家」か。実家へ向かう車中、そんな定義のゆらぎに、つい考え込んでしまう。父という家長への敬意か、それとも家を守ってきた母への親しみか。そんな理屈を頭の中で並べていると、助手席の妻が、スマホから目...
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最強の足握力

先日、息子をベビーチェアから抱っこして、手洗いに連れていこうとしたその瞬間。彼の体がスッとイスから離れかけた――と思ったら、妙な重みを感じた。見ると、足の指先がイスの縁をがっちりとホールドしている。吸盤でもついているのかと思うほどの粘着力。...
育児記録

サイレンの温度

散歩の途中、遠くでサイレンが鳴る。 「ピーポー、きた!」 弾んだ声で指をさす息子。視線の先には、赤いランプを光らせて走る救急車。大人の私にとって、その音は日常の裂け目のようなものだ。誰かが怪我をしたのか、急病か。その切実さを知っているから、...
育児記録

健康診断、異常あり

健康診断の結果が返ってきた。紙の真ん中あたりに、少し主張の強い文字で「要検査」と書いてある。薄々わかってはいた。数字の並びを見なくても、だいたい予想はついていた。それでも、正式に文字として突きつけられると、思っていたより効く。健康ほど大きな...
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三分の冬

今年一番の寒波がやってくる。テレビの中では、気象予報士が心なしかテンション高めに「記録的な」とか「数年に一度の」なんて言葉を並べている。なぜあんなに嬉しそうに見えるんだろう。……そう思うのは、私だけだろうか。とにかく、本格的な冬がやってきた...
育児記録

想像の、その先で

妻のお腹が、いよいよ大きくなってきた。横に座っているだけでも、その重みがこちらまで伝わってくるようだ。男性である私には、その大変さを本当の意味で理解することはできない。たぶん、私が想像している何倍もしんどいのだろう。とにかくお腹が空くらしい...
育児記録

ミルクの場所

もう、ミルクは卒業している。夜中に起きて飲ませることもないし、哺乳瓶を洗うこともなくなった。それでも、息子にとってスギ薬局は「ミルクの場所」らしい。オムツや日用品を買いに行くだけなのに、看板を見つけると、指をさして「ミルク」と教えてくる。行...
育児記録

今日も胸元で

わたしのパーカーの紐は、いつも湿っている。決して、わたしがだらしなく濡らしているわけではない。犯人は、もちろん息子だ。抱っこをすると、ちょうど紐が目の前にぶら下がる。それをつかんで、口に入れて、噛んで、なめる。どうやら、それが彼なりの楽しみ...