【体験談】鼻中隔湾曲症の手術レポート|育休中に決断した全記録


鼻の手術なんて怖くて…
そう思って10年以上も先送りにしてきた鼻中隔湾曲症の手術。
実は私も、慢性的な鼻づまりと頭痛に悩まされていました。
全身麻酔の恐怖、手術費用、仕事への影響…考えれば考えるほど踏み出せなかったんです。
でも、子どもが生まれて育休を取ることになり、「今しかない!」と思い始めました。
もちろん、育休は本来、育児に専念するための大切な期間です。
そこで、つまと相談し、実家の協力も得られることを確認。
「この時期なら手術後のケアもしっかりできる」という判断で、ようやく決意を固めることができました。
この記事では、手術を決めてから回復までの体験を、費用や通院回数も含めて詳しくお伝えします。
育休中の手術という選択肢を考えている方、長年手術を迷っている方の参考になれば幸いです。
目次
症状と診断:鼻中隔湾曲症の基礎知識
鼻中隔湾曲症は、鼻の穴を左右に隔てる壁(鼻中隔)が曲がることで様々な症状を引き起こします。
わたしの場合は「普通の人の30%しか息ができていない」と診断され、アレルギー体質も重なって慢性的な鼻づまりと頭痛に悩まされていました。
主な症状には以下のようなものがあります:
- 慢性的な鼻づまり
- 頭痛
- いびきや睡眠障害
- 口呼吸の増加
- 嗅覚障害
- 頻繁な鼻血
手術までの準備と費用
病院選びにあたって、私が重視したポイントは「自宅からの通いやすさ」と「手術症例数の多さ」の2点でした。
実は、鼻中隔湾曲症の手術ができる病院は意外と限られています。
美容整形のように多くの選択肢があるわけではないので、住んでいる地域によっては、適切な病院を見つけること自体が大きな課題になるかもしれません。
私の場合は幸運にも、この2つの条件を満たす病院をすぐに見つけることができました。
そして、ここだと決めたら、迷う時間は最小限に。
すぐに電話予約をして、どんどん行動に移していきました。
こういった決断は、考えすぎると躊躇してしまうもの。
ある程度の勢いも大切だと実感しています。
術前検査の内容
手術前には以下の検査が必要となりました:
- 血液検査
- 胸部レントゲン
- 心電図検査
- 呼吸機能検査
- においの検査
- 尿検査
- CT検査(鼻腔内の状態確認)
これだけの検査を受けるので、全行程を終えるのに3時間近くかかりました。
費用と保険の説明
手術費用は保険適用で、高額医療費制度を利用できます。
年収によって自己負担限度額が異なりますが、例えば年収500万円の場合、3割負担で24万円の手術でも、自己負担額は85,000円前後になります。
実際にかかった費用の例:
- 初診・相談:4,420円
- 術前面談:500円
- 術前検査:13,040円(2回分合計)
- 手術・入院費用を含めた総額:約13万円
手術までの通院回数は全10回程度でした。
手術当日の体験レポート
手術当日は、朝から何も口にせず病院へ向かいます。
自家用車での来院は禁止されているため、家族に送ってもらう必要があります。
10時過ぎに病室に案内され、パジャマに着替えて体温や血圧を測定し、点滴が始まります。
手術の実際
手術室では以下の流れで進みます:
手術室に入ると、まず点滴と麻酔の投与が始まりました。
初めての全身麻酔に緊張と少しの期待が入り混じる中、医師から「薬を入れていきますね」という声が聞こえてきます。
その声を最後に、あっという間に意識が遠のき始めました。
数秒後、なんとも言えない気分の悪さと共に、視界がノイズまじりのテレビ画面のようにちらつき始めます。
そこから先の記憶は完全に途切れ、気がついた時には既に手術が終わり、病室のベッドで横になっていました。
全身麻酔というのは、まるでタイムスリップしたような不思議な体験でした。
手術の時間がすっぽりと抜け落ちた感覚は、今でも鮮明に覚えています。
術直後の状態
手術から目覚めると、まず鼻のこめかみあたりに違和感と鈍い痛みを感じました。
麻酔が効いているせいか、痛みはそれほど強くありませんでしたが、鼻に詰められた綿のせいで息苦しさを強く感じます。
その後の3時間は、点滴を受けながらベッドで安静にすることを指示されました。
時間が経つにつれ、鼻の詰め物による息苦しさが徐々に強くなり、思わず涙が止まらなくなることも。
ただひたすら耐えるしかない時間でした。
そんな中で救いだったのは、看護師さんが定期的に様子を見に来てくれたこと。
「大丈夫ですか?」という優しい声かけが、不安な気持ちを和らげてくれました。
術後の辛い時間を乗り越える支えになったと今でも感謝しています。
術後の生活
術後、最初の大きな試練は夕食でした。
病院食のメニューを見て思わず目を疑います。
なんとアジフライ定食という、かなりガッツリ系。
「術後の回復のために栄養を摂ってください」という病院側の配慮なのでしょうが、この状態で揚げ物とは…。
しかし、痛み止めを飲むためにも食事は必要です。
普段当たり前にできている「食べる」という行為が、想像以上に困難を極めました。
鼻が完全に塞がっているため、口で食事をしながら同時に呼吸もしなければならず、一口ごとに息継ぎが必要です。
通常なら10分もかからない食事に、30分以上かかってしまいました。
アジフライを細かく刻んで、少しずつ口に運ぶしかありません。
それでも空腹と薬を飲む必要性から、何とか完食にこぎつけました。
夜になると、さらに状況は厳しくなります。
横になると息苦しさが増し、なかなか眠りにつけません。
やっと眠れても、息ができない不安感で何度も目が覚めてしまいます。
痛みと息苦しさから落ち着かない一夜を過ごすことになります。
術後の経過と回復期間
わずか一日の入院生活でしたが、病院から解放された喜びでテンションが高く、家に着いてからも気分は上々でした。
近所を散歩したり、漫画を読んだりと、普通の生活を送れるほどの体調でした。
痛み止めを服用していることもあり、痛みもそれほど気になりませんでした。
ただし、鼻からは常に血の混じった鼻水が垂れ落ちてくる状態が続き、詰め物が必要な状況でした。
これは事前に説明を受けていたことなので、ある程度覚悟はできていました。
しかし、お昼ご飯を食べた後から状況が一変します。
徐々に気分が悪くなり始め、昨晩ほとんど眠れていなかったこともあり、ベッドで休むことにしました。
夕方になっても体調は一向に改善せず、吐き気も出現し、まるで風邪のような症状に悩まされました。
これはおそらく全身麻酔の副作用だったと思われます。
食欲も完全になくなり、フルーツやゼリーなど、口当たりの良いものを少しずつ摂取することしかできませんでした。
結局、この日は休息に専念することになりました。
もし翌日から仕事に復帰しなければならない状況だったら、相当厳しかったと思います。
術後数日は十分な休養が必要だと強く感じました。
術後1週間
術後の1週間は、つまがむすこを連れて実家に帰省してくれていたおかげで、思う存分休養に専念できました。
正直、自分のことで精一杯だったので、気持ち的にも身体的にもこの環境は大きな助けとなりました。
ゆっくりとだらだらと過ごせたことが、回復への近道だったと感じています。
術後2週間
2週間が経過すると、体調は8割方回復してきたという実感がありました。
ただし、この頃から傷口がかさぶたになってきて、鼻の奥が痒くて気持ち悪い状態が続きます。
医師からは「できるだけ鼻をかまないように」と指示されていましたが、我慢できずに頻繁に鼻をかんでいました。
術後3週間
3週間目に思わぬアクシデントが発生しました。
園庭開放に参加したむすこが風邪をもらってきて、それがわたしにも感染してしまったのです。
その結果、いつも以上に鼻をかむ機会が増え、体調も大きく崩してしまいました。
ただ、この時期まで回復していたため、全力で鼻をかむことができたのは不幸中の幸いでした。
もし術直後だったら、と考えるとぞっとします。
術後2ヶ月
術後2ヶ月で最後の経過観察を終え、ようやく通院生活にピリオドを打ちました。
初めて病院を訪れてからこの日まで、約4ヶ月の月日が流れていました。
まだ鼻の中には手術時の糸が残っているため、完全なスッキリ感は得られていませんが、少しずつ改善を実感できるようになってきました。
手術を決意してから完治までの道のりの長さを、改めて実感しています。
まとめ:手術を終えて分かったこと
手術を終えて、劇的な変化を期待していた私でしたが、実はすぐには大きな変化を感じることができませんでした。
まだ鼻の中に手術時の糸が残っているのも、すっきりしない原因の一つかもしれません。
実際にかかった費用と時間
- トータルでかかった費用:約13万円
- 病院への通院回数:10回程度
- 初診から完了まで:約4ヶ月
私の場合、この手術は「絶対にしないといけない」というものではなく、「生活の質を上げるための選択肢」でした。
そのため、10年以上も先送りにしてきたのですが、育休という機会をきっかけに、ようやく一歩を踏み出すことができました。
まだ劇的な改善は実感できていませんが、残りの人生がまだ何十年と続く年齢で手術に踏み切れたことは、良い選択だったと思っています。
これから手術を考えている方へ
悩みを解消できる可能性があるのなら、以下の条件が整ったときが手術のチャンスかもしれません:
- 十分な休養が取れる時期
- 家族のサポートが得られる環境
- 経済的な準備ができている時
最後に一言。
手術を決意するまでの不安な気持ちは、きっと誰もが同じです。
でも、条件が整ったときに勇気を出して一歩を踏み出してみる価値は、必ずあると思います。